い、

業界のリーディングカンパニーとして、
直接金融の成長を促進

野村證券の使命

野村證券が社会に果たすべき使命(役割)についてお聞かせください。また、社会の様々な変化をどのように捉え、野村はどのような取り組みで対応しているのでしょうか。

米国トランプ政権に代表される自国優先主義の台頭、トルコやアルゼンチンなどの新興国リスクの増大、中東や東アジアにおける地政学リスクの懸念など、国際社会が大きく揺れ動く中、Fintechなどテクノロジーの進化は目覚ましいものがあり、私たち金融業界を取り巻く環境は著しいスピードで変化しています。
このような環境下、私たち野村の社会的使命は「金融資本市場を通じて、真に豊かな社会の創造に貢献する」ことです。
金融業は直接金融と間接金融に大別されますが、本来は両者がバランスよく成長することが望ましい姿です。
しかし日本では、歴史的に間接金融重視の政策がとられてきた結果、直接金融の比率は欧米先進国と比べて低い状況です。戦後の焼け野原から経済復興する過程で、多額の預金を原資に銀行が融資を通じて各産業に資金を送ることで、成長のドライバーの役割を果たしてきました。今後の経済を展望すると、貯蓄から投資を通じた資産形成の流れが定着化すること、つまり直接金融、資本市場が成長することが不可欠だと考えています。
その理由は三つあります。
一つ目は、間接金融だけでは今後予測される社会の急激な変化に対応できないということです。間接金融では、企業への融資を判断する際に専門家が介在します。ただ、想定外の事象が相次げば、過去の延長線上での判断が難しく、専門家であっても機能しない…いや、というよりも、専門家であるがゆえに判断に躊躇してしまうということが起こってしまいます。その一方、直接金融は投資家が自ら投資判断を行い、成長が見込まれる企業に投資を行います。言わば「一票を投じる」ことで企業に資金を供給するわけです。様々な知見を持つ投資家が投じた一票が「英知の結集」となり、経済を循環させる。そうした直接金融の仕組みこそ、変化のスピードが早い時代において効果的に機能すると考えています。
二つ目は、日本をはじめ先進国共通の課題である超高齢社会です。医学の発達などにより平均寿命が伸び、「人生100年」とも謳われる中、豊かな生活を送るためには十分な資産が必要になります。夫婦二人がゆとりある生活を送るためには月35万円が必要だとも言われていますので、例えば、65歳で定年を迎え、20年後の85歳までご夫婦共々生きたと仮定すると約8400万円必要となり、それが100歳となると1億4700万円も必要となります。
(※(公財)生命保険文化センター「平成28年度生活保障に関する調査」より当社試算)。

日本の金利は史上最低水準にあるので、現実的には間接金融である預金だけで資産形成を図ることは難しく、また、公的年金だけに頼ることもできないため、自分で判断して資産を運用すること、つまり直接金融への参加が非常に重要になります。海外に目を向けると、過去30年間で世界の実質GDP(国内総生産)は年率平均3.6%で成長しています。この間、世界の企業業績は年率平均で5.4%、主要な先進国の株価は年率平均で5.1%上昇をしているのです。世界的な人口増加はまだ続いており、生産性も向上していますので、今後も世界のGDPは成長し、企業価値も伸び、株価も上昇していくと考えられます。こうした世界の経済成長を資産ポートフォリオの一部に組み込めば、多くの方の資産寿命を安定的に伸ばしていける可能性があります。
三つ目は、「イノベーション支援」です。AI、VR、ブロックチェーン等のイノベーションの成長には、初期の段階でリスクマネーが供給されることが重要な意味を持ちます。リスクマネーの供給において、融資に与信審査を要する間接金融では難しい面があり、直接金融の担い手である私たちが的確に資金供給をサポートすることが必要です。イノベーションの芽を大切に育てるという意味においても、直接金融が重要な役割を果たすと考えています。

厳しい時代にこそチャレンジする、
「変革と挑戦」のDNA

野村證券の未来像

超高齢社会の到来、Fintechの発展等環境が大きく変化する中、証券業はどう発展し、野村證券はどのように持続的成長を遂げていくのでしょうか。

野村證券の過去の歴史をさかのぼると、まさに厳しい環境の時に、常に変化を先取りし、その苦境をむしろバネにして、新しいことにチャレンジしてきました。
例えば、ウォール街の暴落に端を発した世界恐慌の二年前の1927年に、野村證券はニューヨークに出張所を設け、1930年には東京・日本橋に日本橋野村ビルを竣工しました。また、証券不況の影響が残る1965年、今後のリサーチ力の重要性に着目し、野村総合研究所を立ち上げています。直近では、リーマンショックの最中、リーマン・ブラザーズのアジア・パシフィック及び欧州・中東の人材を承継しました。あえて逆風に立ち向かい、攻めの姿勢で先手を打ってきたからこそ現在の姿があると考えています。
厳しい時にこそ、自ら打って出てチャレンジをする。こうしたあくなき「変革と挑戦」の姿勢が野村證券のDNAであり、業界ナンバーワン企業に押し上げた原動力なのです。その意味で今のような環境変化の激しい時代は、野村證券にとってはさらなる飛躍のチャンスと言えます。
今後持続的な成長を遂げるため、いま注力すべきは、「グローバル化」「超高齢社会への対応」「テクノロジーの活用」の三点と考えています。
「グローバル化」においては、個人・法人を問わずお客様のニーズが多様化しています。例えば個人のお客様の場合、この低金利下で預金のみの資産運用は難しいため、海外資本を含めたグローバルなポートフォリオを作る必要があります。加えて、法人のお客様においては、国内需要の減少が懸念され、海外進出におけるM&A等のサポートが必須となります。野村グループは「アジアに立脚したグローバル金融サービス・グループ」として、世界30か国・地域を超えるグローバル・ネットワークを有しています。今後もより一層お客様のニーズに応える態勢を強化していきます。
特にアジアについては、数年前にアジア開発銀行が、「2050年にはアジア地域のGDPが全世界の5割を超える」という予測を発表しましたが、成長著しいアジア市場で確固たるプレゼンスを構築していくことは、当社にとって最重要の戦略の一つと位置付けています。
中長期的な計画のもと、アジア諸国でプラットフォームの構築を進めていますが、国ごとの規制環境、市場規模や発展段階が異なるため、画一的に「アジア」を一括りに考えず、その国の成長ステージにフィットしたビジネスモデルを構築していきたいと考えています。
その中で中国については、1982年に進出して以降様々なビジネス機会を模索してきましたが、昨今の規制緩和の潮流の中で、新しいビジネス展開を目指して動いています。
グローバル戦略については人材育成も必要不可欠であり、当社では2013年から「海外修練制度」を実施しています。現在は、英語圏および中国語圏の都市を中心に、毎年15名程度の入社から7年目までの若手社員を派遣し、グローバルに活躍できる人材の育成に注力しています。
また、「超高齢社会への対応」では、2018年4月より高齢者対応の専門チーム「ハートフルパートナー」を全国各支店で展開しています。長生きへの不安や相続など、高齢者の方は深い悩みを抱えておられます。その悩みに寄り添い、不安の解消をサポートすることが重要です。併せて、加齢が経済や金融行動に与える影響を扱う「ファイナンシャル・ジェロントロジー」について慶應義塾大学と共同研究を始めており、書籍の発行や社内向けの研修を実施するなど、成果も出始めています。社会的課題に対して真正面から取り組むことは、SDGsが目指す持続可能な社会の創造に通じるものだと考えています。
最後の「テクノロジーの活用(進展)」に関しては、野村證券と非常に相性が良いと思っています。その相性の良さは3つあると考えています。1つは、野村證券にはお客様との膨大な取引データがあり、それはビッグデータそのものだということです。そして、その取引データにAIを入れ解析させることによって様々な取り組みが可能になると考えています。現在、この手法によって機関投資家向けに5分後の株価を予測するシステムを開発し既存のモデレックスという自動発注システムに組み込み、実際にお客様にご利用いただいていますが、今後も様々なモデルが開発できると考えています。2つ目は、当社は情報産業であり、そもそもその生業から、この最近のテクノロジーと相性が良いということです。この分野では既に野村AI景況感指数、SNS×AI 鉱工業生産予測指数等を世に送り出し、最近では企業のESGに関する取組状況をAIで分析し、お客様への提案に活かしています。今後はさらに、政府や企業が発表するデータをはじめ、ニュースやSNS、その他様々なデータをAIで分析し、差別化された情報としてお客様にお届けしたいと考えています。
そして3つ目は、テクノロジーの活用による社内業務プロセスの効率化です。先程もお伝えしましたが、個人・法人いずれのお客様も多様な悩みを抱えており、そのようなお客様と真に向き合い、最適なソリューションを提供するためには、お客様との面談時間を最大限に増やす必要があります。言い換えれば、そのような時間が増える程、私達の仕事の生産性は上がる訳です。この取り組みの重要性を認識した上で、プロジェクトチームを立ち上げ、取り組みの強化を図っています。

価値観・人間性、全人格を賭けた
勝負の場

証券業界・野村證券で働く醍醐味

証券業で働く醍醐味をどのようにお考えでしょうか。また、野村證券で働く魅力(他金融機関とは異なる強み、フィールドの広さ、成長を促す風土等)についてお聞かせください。

証券業は、絶えず変化するマーケットと向き合い、経済のダイナミズムを直に体感することができるビジネスです。昨日と同じ瞬間は決して訪れません。そして今、国としても「貯蓄から投資を通じた資産形成」を助長しており、野村證券にとって時代の流れという大きな追い風が吹いています。
貯蓄から投資を通じた資産形成を推進する上で忘れてはならないのは、投資にはリスクがあるということです。変動商品を扱う私たちは、お客様と対話を幾度も繰り返し、高度な情報を提供し、その上で投資判断を下していただきます。その際、マーケットや商品に関する深い知識が必要なだけでなく、お客様との信頼を築かねばビジネスは成り立ちません。言わば、証券ビジネスは価値観や人生観を含めた「全人格」を賭けた勝負と言えます。人生経験が豊富な多くのお客様を相手にする時、レベルの高い提案をしなければ認めていただけませんし、人間的な魅力、高い倫理観・道徳心も求められます。だからこそ、常に自らを磨く必要があります。ここに証券業界で働く醍醐味があると思います。
アメリカでは、弁護士や医者と並び、証券会社で働く人間が社会から尊敬を集めるそうです。弁護士は法律を、医者は生命を預かっているのと同様に、証券会社はお客様のご資産を預かります。これらの業界はそういう重要な仕事に携っているということで、徹底したフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)が求められる一方で、その仕事を全うした人達には尊敬の念が持たれる訳です。日本でも、同じように尊敬される業種になるよう高めていかなくてはなりません。社会・世間からの評価を高めるためにも、相応しい行動をとること、一人の人間として信頼されるに足る確固たる自己を持っていることが必要です。

多様な人材が
切磋琢磨しあう風土

野村證券の人材戦略

人材に対する野村の考え方、性別や国籍を問わず、さまざまな社員(個性)がイキイキと働くために取り組まれている施策についてお聞かせください。

証券業が扱うのは金融商品やサービスといった形のない商品であり、付加価値を生み出すのは人に他なりません。その意味では「人がすべての財産」と言っても過言ではないビジネスです。
しばしば「野村證券に向いているのはどんな人ですか」と聞かれますが、証券業に向き不向きはありません。マーケット環境は日々変化し、その変化のスピードも速まる中、お客様のニーズは多様化しています。そうした多様なニーズに対応するためには、組織の中を一色で染めるより、多彩なパーソナリティ、多様なバックグラウンドを有する人材が必要です。
現在、野村グループ全体で約2万9000人の社員が在籍しており、社員の国籍は約90カ国に及びます。様々な個性を持つ人材がお互いに認め合い、協働し、切磋琢磨しながら、それぞれの能力を存分に発揮する。それこそが野村證券の大きな強みです。そのため野村證券ではあらゆる人に平等な雇用機会を提供するとともに、年齢や性別はもとより、国籍、人種、民族、性的指向、宗教、政治信条、障がいの有無などに基づく一切の差別を行わない取り組みを進めています。
とりわけ女性社員に関しては、キャリア形成とライフイベント両立のためのサポートの他、キャリアアップのためのメンタリング・プログラム、幹部候補社員に対するスポンサーシップ・プログラム等を用意しており、今後も女性の活躍を更に推進していきます。
多様な人材が個性を発揮し、ぶつかり合いながらも組織・チームが一丸となるためには、社会的使命という軸が欠かせません。野村證券の社会的使命に向かって互いに切磋琢磨し、組織や立場を越えて協働することで、イノベーションの創出を図っていきたいと考えています。
野村證券には昔から「キープヤング」という社風が息づいています。意欲がある若手社員には、権限を委譲し、早い段階で責任ある仕事を任せていく。チャレンジには失敗がつきものですが、失敗から学ぶたくましさも必要です。前向きに挑戦する人をきちんと評価し、成長の機会を与えることも野村證券のカルチャーのひとつです。

大きなやりがいを得られる時代。
野村で個性を存分に発揮してほしい。

野村證券を目指す学生へ

森田社長ご自身が社会人人生において最も大切にされてきたことについてお聞かせください。また最後に、野村證券を目指す学生に対してメッセージをお願いします。

私が入社したのは1985年ですので、実に33年が経過したことになります。
私は決して器用な人間ではなく、どちらかと言えば不器用な人間です。入社後、国内営業からキャリアをスタートしたわけですが、過去を振り返ると、成功よりも失敗の記憶が多く思い出されます。失敗した時、「次は同じことを繰り返さないようにしよう」と考え、その都度一生懸命学びました。だから成功よりも失敗が強く印象に残っています。不器用な人間だからこそ、失敗から学び、少しでも成長しようと足掻いてきた経験が、現在のキャリアへと繋がっていると思います。
もちろん、上司や先輩方にも多くの指導を賜りました。インストラクター制度をはじめ、野村證券は人材の育成に対して並々ならぬ情熱を持っています。多くの社員に「この人のおかげで今の自分がある」と言える上司や先輩、お客様がいるのです。人材育成を通じて結ばれた絆は、一生の財産であると感じています。
また、私自身様々な部署で働くことも経験しました。初めて経験する部署ですと、当初はわからないことだらけです。ただ、その中でも、これ「おかしい」のではと思うことが見えてきます。最初のうちは、私自身、その部署の知識がないので、もっと深い所があるのだろう、だから「おかしい」のではなくてこういうものが存在する理由があるのだろうと思う訳です。ところが、様々な部署で、最初におかしいと思った事は十中八九やはり問題なのです。長期に亘り同じ部署で働いていると、非効率なプロセスが常態化するケースがあります。業務に慣れるあまり、「自分たちのプロセスに改善点があるかもしれない」と想像する力が失われてしまうのです。
特にマネジメントを担う立場になって感じたことですが、“その部署の経験の無い人がマネジメントを担うのは難しい”という定説は、違うなと感じています。どの部署でもビジネスの本質は変わりません。そして先程お話したように新参者だから見えるものもあります。私は、マネジメントに一番重要なのは経験の有無ではなく、想像力だと考えています。私自身、変革と挑戦に向け、想像力を発揮していきたいと考えていますし、マネジメント層に限らず、多くの人に様々な部署を経験し、人間としての幅を広げてもらいたいと考えています。

現在の野村證券は、その長い歴史を振り返っても「今までにないほどのやりがいが感じられる」ビジネス環境の中にあります。先に述べた通り、グローバル化、超高齢社会への対応、テクノロジーの活用等を通じ、お客様を取り巻く環境はますます複雑化しています。それはつまり、お客様はかつてないほど悩まれているということ。個人のお客様で言えば、退職金の運用や相続、事業継承といった悩みがある。企業も生き残りを賭けた戦いを続けており、日々高度な決断を迫られている。こうしたお客様は、悩みの解決に向け、野村證券に期待をされています。そして、野村にはそのソリューションを提供できる力があります。今仕事をせずして、いつ行うのかといったやりがいのある環境が広がっているのです。
野村證券の中で活躍するために、皆さんに心掛けておいていただきたい点が三点あります。一つ目は「向上心」。日々変化する金融環境や経済情勢の中、自ら成長しようという意欲を持ち、自ら進んで努力していくことが大切です。二つ目は「主体性」。上からの指示を待つのではなく、自分の頭で考え、判断して、チャレンジング・スピリッツを持って行動すること。そして三つ目は「誠実」であること。常に社会やお客様にとって何が一番大切なのかを考え、高い倫理観を持って行動することです。この三点を理解して実践できる方は、野村證券でも必ず活躍する人材となるでしょう。
いま、野村證券は時代の流れという大きな追い風を受けています。若い皆さんに、自分自身の力を思いっきりぶつけてもらいたい。刻々と変化するマーケットに向き合い、経済のダイナミズムを肌で感じてもらいたい。若い皆さんの力を、この野村證券というフィールドで存分に発揮していただきたい。心からそう願っています。

森田 敏夫
野村證券株式会社 代表執行役社長

1961 年鳥取県生まれ。同志社大学商学部卒業後、野村證券入社。同社池袋、岡山、福岡の各支店長を経て、同社常務、野村ホールディングス常務、野村證券副社長等を歴任。2017 年 4 月に代表執行役社長に就任し現在に至る。